風呂の中で

明日から続くハード(になりそう)な10日間の前に、たまった疲労をリーズナブルに解消するためにスーパー銭湯へ。
久しぶりに、高井戸の美しの湯。


湯船に入ってしばらく後、タオルで前を隠す人の割合が、いつも行く仙川湯けむりの里よりも多いことに気づく。
湯けむりではめったに見ない、腰巻タオルの人も複数目撃。
なんだろうこの違いは?

数キロ都心よりだから?
プール併設と関係ある?
湯けむりは…(略)…だから(聞いた噂)?

・・・・・。
湯けむりでは以前こんな経験が。
湯船の踏み段に座り腰だけつかっていると、近くに人のよさそうな老人が入ってきて、気づくと僕の身体をまじまじと見ている。
はじめは、大きく残っている手術跡を見ているのかと思ったがどうも様子が違った。
時々足が触れたが老人から避けようという素振りは皆無だった。

そして少し後、ミストサウナに向かうとその老人が出ようとするところにはち合わせた。
老人は出るのをやめ、サウナの中には僕と二人。
「…。」
「いいカラダしてるね。」
「いやそんなことないです。」
「いや、いいよ、胸が。なかなかないよ、そういうおっぱい。」
「たるんじゃってね、胸も腹も。鍛えなくちゃダメですよね。」
「そう?…やわらかそうだなぁ。ちょっと触らせてよ。」
「……(不覚にも思考に少しの時間を要した)いやいやいやいやいやいや。」

そして、最近いいことありましたか、無いでしょ、わかるよ見れば、的なちょっと神秘的な話をして出ていった。
そしてさらに後、洗い場で連れらしい若い衆二人に背中を流させていたのを見かけた。
何者だったのだろう…。

カラダ。

美しの湯はプールで泳ぎ終えて風呂に入る人も多いようだ。
水泳で鍛えられた上半身のしなやかさには、あこがれる。

泳ぎたくなってきた。

小学生の頃、選手を育て上げるような厳しいスイミングクラブに通っていたので、ひと通りは泳げるようになっている。
最後の泳法バタフライのクラスを合格した時コーチから、普通なら3クラスくらい経てから上がれる「選手育成コース」に飛び級することをすすめられた。
仲の良い友だちも先に育成コースに上がっていたので、深く考えずにうなずいてしまったが、厳しいのなんの。
2、3回行ってギブアップしてしまった。

ギブアップ。

6歳から7年間やっていたヴァイオリンも、レッスンが嫌で嫌でやめてしまった。

中学に入りあまり入りたくなかった音楽部を見学に行ったらその場で強面の主将の強い勧めでクラリネットをはじめることになったが、1年半くらいでやめてしまった。

その後、憧れだったトランペットを始めたが大学受験に二度失敗して挫折。

二十歳の頃から歌い始めて今に至るが、何度やめようと思ったことか。。。
最近ようやく、続けていてよかったなぁと少しずつ思えるようになったもんだ。

聖書に「時が良くても悪くてもそれを励み云々」という言葉が、文脈は少し違うが、ある。
後に実を結ぶ果実を収穫するために今は耕し種をまく。
耕しているときは苦労ばかりを味わうが、後のごちそうが楽しみだ。

美味しいもの食べたいなぁ。

。。。
。。。。。
。。。。。。。

思考と追憶が汗と共に吹き出し、体内の血液のようにグルグルと巡り巡った2時間だった。

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